無駄の美学
ジャガーはワルなイメージの優雅な車を作っていたブランドです。
人によってはEタイプをイメージする人もいると思いますし、丸目四灯のXJシリーズを思い浮かべる人もいるでしょう。今回特集するのはどちらかというとEタイプの系統、XK8です。私が普段の足として使っているので使い心地含めてインプレッションしていきます。
ジャガーXK8のデザイン
この丸っこいデザインが2000年前後のトレンド。実はこのライト、ガラスなんです。
フロントグリルは往年のEタイプを思い出すスタイリングです。スーパーチャージャー付きのXKRだとメッシュグリルになるのでやはりXK8はクラシカルで素敵です。
リアも贅沢な長いオーバーハングで、2本出しマフラー。ボディの断面が楕円になるようなサイドラインの湾曲が美しいです。
ボンネットはXJ同様、逆向きに開きます。開けると結構盛り上がります。
ジャガーXK8の内装
ドアを開けるとすぐ目に入る巨大なウッドのダッシュボード。グリルと同じような形で、共通のモチーフなのでしょう。初期モデルは中央部分に時計、バッテリー電圧計、油圧計?の3つのメーターが埋め込まれています。
伝統のJ型のシフトゲートは基本的に縦に使い、エンジンブレーキ等でシフトダウンする時にだけ左側を使います。
ジャガーXK 8のデビューは1996年。98年式のこのモデルはビッグマイナーチェンジ前のモデルということになります。真夏でもエアコンはしっかり寒いくらい効きますので安心して足として使っています。シートヒーターの効きは非常に控えめなので冬はエアコンと併用がおすすめ。
試乗インプレッション
ジャガーXK8に搭載されるV8エンジンは4L。馬力は300馬力を少し切る294ps/6100rpm、最大トルクは40kg・m/4250rpmと1640kgのクーペには必要にして十分なスペックです。
組み合わされるトランスミッションはZF製の5速AT。これが中々鬼門でして、10万キロくらいでどの個体も見事に壊れます。なので購入の際はATオーバーホール個体かOHなしでは絶対に走れない12万キロくらいの個体を狙うのが良さそうです。
乗り味は非常に滑らかで、ダルです。クーペに乗っているよりも軽いセダンと言う方が近い感覚かもしれません。もちろんジャガーのセダンといえばXJですが、あれほど重くて非力な動きではないのでそう考えるとクーペらしさもしっかり演出されていると言えます。
常に低い回転数で静かに回るので長距離でも全く疲れません。300kmノンストップで走っても「もう着いたの?」と思わせるほどです。この理由はもちろんエンジン回転数もそうですが、社内の制振、消音設計なのではないかと思っています。この時代の大排気量車にありがちな頭上で籠るボーッとしたサウンドが全くなく、エンジンとキャビンの間にコンクリートの壁でもあるのかと錯覚します。
ATのセッティングのおかげで高速道路では4LのV8とは思えない12km/Lでの走行も可能。私が島根から東京まで750km走らせた平均燃費が12km/Lでした。