DCTのパイオニア
今ではフェラーリも採用するDCTですが、その最初期の搭載車両の一つがTT3.2クワトロです。ゴルフ4R32と多くの機関系を共有するモデルで、狭角V6を搭載。
湿式のDSGは2枚のクラッチを制御して素早い変速を可能とし、副産物として燃費の向上などが挙げられます。今回は要所要所に手を加えられたTT3.2クワトロを試乗インプレッションしていきます。
アウディTT3.2クワトロのデザイン
TT3.2は全てSラインなのでSライン専用バンパーとスポイラーが大型化されています。ライトはボディ色になっているので、黒目がちな前期モデルよりも洗練された印象。
スポイラーは通常のものに黒いカバーを被せたようなスタイルです。一応、アフターマーケット品もあります。
この車両は高速域での空力の懸念を払拭するためにリアに樹脂のスポイラーが装着されています。これ、結構効くそうです。
マフラーは2本出し。可変バルブマフラーになっていて、4000rpm付近でバルブが開きます。リアのディフューザーもSライン用で、ハニカムデザインの黒いパーツになっています。
カーボンのパーツも4万円くらいで買えます。エアロ形状のパーツもありましたが、めっきり見なくなってしまいました。
TT3.2クワトロの内装
この景色がTTの魅力です。ほとんどがオリジナルなデザインの内装。
TT3.2クワトロは右ハンドルのみ。本国や北米ではマニュアルも存在します。
シートはレザーパッケージ。しっとりしたレザーで、昨今のようなカラーバリエーションがない代わりに上質な仕上がり。
ステアリングの革もしっとりしています。
運転席はレカロのフルバケが入れてあります。着座位置がかなり下がりますが、元々TTはハッチバックのような着座位置なのでそこまで支障はありません。
試乗インプレッション
一般道
DSGの懸念点である初動のギクシャクですが、TT3.2クワトロは初期のDCTとは思えないほどスムーズです。ただこれは個体差が大きく、過去に運転した同じ型の車両は少しクリープにむらがありました。
TTはペダルポジションがアクセルだけ少し奥にあります。ブレーキは少しふんわりしていて、最初の数cmの操作感が希薄。ハードに踏み込んだ時はしっかり効きます。
回転数が4000rpmを超えるあたりでバルブが開くので、音が一段と轟きます。可変バルブマフラーを純正採用しているのも画期的。
高速道路
高速道路こそがTT3.2クワトロの真骨頂です。
ECUチューンで270ps出ているので高速ではどこからでも加速します。変速スピードは速くて、シフトショックも少しあるので上手い人がマニュアルで転がしているような感じです。
0-100km/h加速の数字だけ見ると、1.8Tクワトロとほとんど同じなのですが実際そこからの伸びはまるで違います。TT3.2クワトロは100km/hからの加速が気持ち良いです。ストレスなく無事に免許を失うことが出来ます。
超高速域でこれが活躍するらしいです。
私の1.8Tクワトロとは足回りのパーツが全然違うので、動きも違います。3.2のほうが断然しなやかで、車高も標準で低い設定になっているので元の設定で空力的に有利というのもあると思います。
回転数が上がるごとに等倍で加速していきます。ターボのようなパワーのムラがないというのがこの排気量のNAエンジンの良さです。ボディサイズに対しては大きいエンジンだからこその贅沢な質感です。
総評
同じTT8Nでも1.8Tと3.2は別の車です。
ゴルフGTIとゴルフRのような棲み分けがされていると思ってください。峠道やワインディングを楽しみたいなら100kg軽くてマニュアルの1.8Tクワトロ、高速道路を快適に巡航したいのであれば3.2クワトロ。どちらにも魅力があると今回痛感しました。