日本が誇るピュアスポーツカー
マツダRX-7といえば、ロータリーエンジンを搭載した伝説の名車です。軽量でコンパクトなエンジンをフロントミッドに搭載し、前後重量配分を50:50にしたハンドリングマシンです。
今回はその中でも特別な最終モデル、スピリットRタイプAを試乗インプレッションします。
マツダRX-7(FD3S)スピリットRタイプAのデザイン
今見ても美しいと思います。フロントはリトラクタブルライトだからこそこの低さ、薄さを実現しています。この時代のデザインの最高峰だと私は思います。
RX-7(FD3S)最終モデルのスピリットRタイプAは専用のBBSアルミホイールとサイドのバッジがあしらわれています。
レッドキャリパーでドリルドディスク。ホイールカラーはタイプAだけがガンメタです。
テールライトは今流行りのガーニッシュスタイルとも言えます。テールライトは丸型の左右3灯ずつでミステリアスな感じです。
このプリッとしたお尻のラインがとにかくエロくて可愛いです。ポルシェにも、フェラーリにもないラインだと思います。マツダは今も良いデザインのクルマを数多く出していますが、RX-7は特別です。
個人的に昔から好きなポイントはドアノブ。当時のアルファロメオ156でも採用されていましたが、ドアノブが目立たなくなるのでボディラインがより美しく見えるパーツだったりします。
マツダRX-7(FD3S)スピリットRタイプAの内装
ゴールドのRX-7ロゴが迎えてくれます。
ステアリングはナルディ。ボタンは一切なくシンプルながら赤ステッチがアクセントになっています。
この赤ステッチはシフトブーツやサイドブレーキにも共通したデザインです。
ダッシュボードは運転手側に向いています。
スピリットRタイプAの特徴である2脚のレカロ製フルバケットシートも真っ赤。外から見ても特別仕様車であることがわかります。
助手席の足元は穴あきの鉄板。
トランクはかなり薄いです。開口部は広いですが、トランスアクスルなだけあってフロアが高いというのはポルシェ928やAMG GTと共通していますね。補強パーツが入っています。
白いメーターが5つ、一番大きいのがタコメーターというのがピュアスポーツカーというキャラクターを強めています。小さい3つのメータのうち一番上がブースト計です。セカンダリータービンが回ると一気に針が上向きます。
ドアノブが特殊で、ポケットの中のレバーを後ろに引くと開きます。ドアの内張も本当にシンプルで素敵です。
試乗インプレッション
一般道
クラッチはさほど重くもないですし、繋ぎにくいわけではありません。ただ少しアクセルを煽った方が綺麗に走ってくれます。
走り始めると、あっという間に3000rpmを超えます。そのあたりからブースト圧が上がってさらにパワーが出てきます。RX-7(FD3S)のロータリーエンジンは高回転型で、最高出力は6500rpmで280馬力を発揮します。最大トルクも5000rpmで314N・mなので3000rpmでもまだまだ上があります。
シフトアップは最低でも2800rpmほどは必要で、そうでないとガクガクしてしまいます。低回転域ではかなり不安定でとにかく「踏めよ回せよ」とクルマが語りかけてきます。
一般道では、良くて3速しか入らないので大体が1速か2速でぶん回しながら乗ります。乗るというか乗せられているのですがね。アクセルは開度に応じて敏感に反応します。30%くらいのところに踏み心地が重くなるところがあります。一般道ではそこまで踏まず、高速で使うという感じでした。
やはりエンジンが軽いからか、ハンドルは一般道であっても重くはないと感じました。凄まじくクイックに回答してくれるハンドリングは正確そのもので、自分の運転の下手さも露わになってしまうほどです。
そしてやはり乗っていて興奮するのがこのミラーからの景色。柔らかいお尻はこうして見ると結構ワイドですが、全幅は1760mmしかないというのはデザインの妙です。
高速道路
3速2500rpmくらいから踏み込んでいくと4000rpmくらいで音が変わります。あのロータリーのポワーンというサウンドがダッシュボードの奥、マフラーから聞こえて共鳴します。タービンの圧が抜ける音も奥の方から聞こえてくるので機械音だらけです。
高速道路に乗るとロードノイズもかなり拾うので快適というわけではありません。しかし、それを上回る楽しさがあります。5速で100km/h巡航しても音は入ってきます。試乗した日の路面はややウェットでしたが、道路の継ぎ目では少しスライドする感覚があります。
RX-7(FD3S)スピリットRタイプAはとにかく軽いです。ノーマルのRX-7よりもシートと後席撤去で10kg軽量化されています。車重は1270kg。
RX-7(FD3S)スピリットRタイプAの印象
一言で言えば“精巧なマシン”という感じです。
メカニカルサウンドが文字通り四方八方から聞こえてきます。エンジンは多少振動しますがスムーズで、マフラーからは踏んだ時にのみ軽いサウンドが響きます。フロア下からも年式なりのきしみや機械音が聞こえてきます。
シフトのつながりやブレーキング、アクセルには多少のくせはあるものの極端なものではありません。ただし、操作のタイミングはかなり気を遣うクルマでした。一般的に最終型の完成されたエディションはその辺の荒さを削っているものが多いですが、RX-7スピリットRタイプAは回転数を気にしてアクセルとクラッチで積極的に動かす必要があります。
総評
非常に楽しいですが、運転するのは結構緊張します。
発進時もマンホールや継ぎ目の上なら平気でホイルスピンします。踏めば荒々しく走るのでこれはサーキットに持っていかないと命が足りないと思います。本当に速い車です。この時代の国内自主規制280馬力なんてと思っていましたが、さまざまなクルマを乗ってみて280馬力でも速すぎるくらいだと思うようになりました。
この規制は確かに命を守っているのかもしれません。