世界一ベーシックなクルマ
フォルクスワーゲンゴルフは、ドイツが誇る大衆車の代表です。世界中で売られているのでどの国に行っても見ることができます。
しかしそんな”フツウのクルマ”であるゴルフは初期からGTIというスポーツモデルが存在しました。そして4世代目のゴルフ4から「R」シリーズが登場します。ゴルフ4、5ではR32という3.2LのVR6を搭載したハイパフォーマンスモデルで、ゴルフ6から2Lのターボエンジンを採用してダウンサイジングを図っています。
今回は、2Lターボになってからの二世代目であるゴルフ7Rを試乗させて頂いたのでインプレッションしていきます。
ゴルフ7Rのデザイン
ボディカラーはゴルフR専用色のラピスブルーです。
ダウンサスと19インチホイールでカスタムされています。このゴルフ7Rは前期モデルで、後期とはフロントバンパーの意匠が違います。前期のゴルフRの方が少しマイルドです。
リアは控えめなRのバッジくらいしかありません。マフラーが4本出しで左右対称。ウィングも小さめで知らない人がみればただのゴルフです。
シルバーのミラーはゴルフR専用です。アウディのRS系でもシルバーのミラーを採用している世代があるのでフォルクスワーゲングループのハイパフォーマンスモデル定番のデザインになっています。
こちらの車両にはポルシェマカン用のブレーキキャリパーが装着されています。ディスクはノーマルでポン付けできるらしいです。ノーマルは片押しのモノブロックですがマカン用にすることで対向ピストンになっています。
よく見るとプレスラインは凝っていて少ない線で形作られています。
この車両にはリップスポイラーが後付けされています。結構低いです。
ゴルフ7Rの内装
シートもゴルフR専用。ランバーサポートもお尻のサイドサポートもせり出していますが少し弾力のある硬めのものです。しっかりはしていますが不快ではない絶妙なフィーリングです。
ステアリングは少し太めでD型。完全な真円断面ではなく楕円っぽいので握りやすいです。
パドルは社外品に変更されて、大きくなっています。クリック感は軽快でパチパチ決まります。
ダッシュボードは黒基調なので地味です。特にこれがすごい、みたいな感じではなくシンプルです。世界中の人が乗るクルマだからこそ癖を無くしているのでしょう。
後部座席はしっかり大人が座れる広さです。これがゴルフRの魅力かもしれません。ちゃんと4人乗れるファミリーカーという感じがします。後部座席中央はトランクからスキー板などの長物を貫通できるようにしてあります。
トランクもワイドに開くので間口が広くて使いやすいです。4WDなのでそこまで深くはないですがその分フロアが近くて載せたり下ろしたりがしやすいです。
試乗インプレッション
一般道
アクセルは軽めで開度50%くらいでかなり鋭い加速をします。
馬力は下道では持て余すほどの280PS、340N ・mの高出力エンジンです。トランスミッションは湿式のDSGで前期は6速、後期は7速です。
シフトショックはほとんどなく、変速に気付くのは難しいくらいです。2000rpm手前でどんどんシフトアップしていきますが、これは選択するモードによって変えたり、シフトレバーを手前に引くことでマニュアルモードで手動変速を楽しむことも可能。
電動パワステは嫌な人工感はありませんが、軽いので細かいタッチは慣れが必要だと思います。試乗の際はオーナーさんのカスタムセッティングで、ステアリングが最も重いスポーツ設定でしたがそれでも低速域では軽いです。
ブレーキは若干の遊びを感じます。これは同じワーゲングループでもポルシェと大きな違いがあると思いました。効き始めてからは極めて細かいタッチができる絶品のブレーキで、とても扱いやすいです。ゴルフ7Rは下道においてブレーキで乗るクルマという印象が強いです。
高速道路
高速道路がゴルフRのステージです。料金所を2速で抜けて踏むと一瞬で80km/hに到達します。ターボのラグや急激にブーストがかかる感じは全くなく、回転数に対して等倍で出力が出るような伸び方です。
100km/hからの加速がやはり魅力的でした。あまり大きい声では言えませんが、車内のノイズなどは100km/hで頭打ちになりそこからは速度と回転数だけが上がっていく感じです。ですから、高速巡航に適したクルマであるのは間違い無いでしょう。
3000rpmあたりから加速が鋭くなるので欲しい時にいつでも速度の調整が可能です。
総評
ゴルフ7Rはこのボディサイズとは思えないほどの安定した走りを見せてくれます。イメージ的には幅1.9m、長さ4.7mくらいのゆったりしたクーペのような直進安定性と操作感です。キビキビ曲がるためのGTIとは確実に性格付けを変えているのでしょう。
試乗する中で、ゴルフ7Rは高速巡航マシーンという性質が強く出ているとも感じました。車高を下げてインチアップしているにも関わらず足回りの衝撃吸収は素晴らしく、ノーマルのようです。さすが世界戦略車、さすが世界のゴルフです。