軽さは正義
ロータスというブランドは、創業者コーリン・チャップマンの意志をしっかりと残してきたブランドです。
言ってみればボディ屋であり、F1などでもエンジンはエンジン屋に供給してもらいながらマシンを作り上げてきました。それはロードカーでも同様です。今回特集するエリーゼは言わばロータスを救ったクルマ。トヨタエンジンを搭載したフェーズ2エリーゼです。
ロータスエリーゼのデザイン
印象的な4つ目のライトはエイリアンっぽい不気味さが特徴。ボディカラーはリキッドブルー。
テールライトも4灯で統一感があります。こうやって見ると普通のスポーツカーに見えるかもしれませんが、サイズの小ささはある意味インパクトがあります。
全幅172cm、全長は380cmと、超コンパクト。あと少しで5ナンバーになりそうです。このバランスはランチアストラトスに通ずるものがあると私は思います。レースカーでもないのにこのプロポーションを設定しているのはある意味このバランスが黄金比になっているのからかもしれません。
細部を見てみると、タイヤだけが張り出したようなくびれのあるボディシェイプで実に美しいです。これが軽量化にもなっているとすると見事なデザインであると感動します。
フェンダー上部のエッジがそのままライトの峰に繋がっており、ボディ全体にわたって印象的なラインを描いています。
テールは少し反ったダックテールスタイル。オーバーハングの短さもストラトスのようです。
車体が軽いだけあってブレーキはそこまで大きくありません。必要十分な制動力とこれもまた軽量化のデザインでしょう。
ロータスエリーゼの内装
ドアを開けると、30cmほどあろうかというサイドシルがお出迎え。タイヤに対してドア部分は大きくえぐられているので、乗り降りに使うスペースはさほど大きくないのかもしれません。
しかし、それは屋根がない場合の話です。屋根を付けた状態で乗るのはかなりの難易度。
このトヨタエンジンを搭載する年代のステアリングにはエアバッグが搭載されますが、この個体は交換して軽量化したそうです。メーターはシンプルでタコメーターとスピードだけ。本来クルマの内装にあるカーペットや内張はありませんが、随所にアルミ削り出しパーツがあるので安っぽさを感じません。
エアコンのスイッチ類、シフトノブ、サイドブレーキ、極めつけはウィンドウスイッチの縁もアルミの削り出し。
助手席はシートの調整機能が全くなく固定されています。
試乗インプレッション
エンジン始動した瞬間に、136馬力であることを忘れるほどのサウンドが何にも遮られることなく耳に届きます。
しかしフロアに響く振動は思いの外フラットでメカノイズもそこまで過度ではありません。クラッチを踏むといきなり個性を押し出してきます。この個体は強化クラッチが入っているのでかなりの反発力を感じます。それでいてストロークは直線ではなくアークを描くので慣れていない人には難しいクラッチミートになると思います。
私が驚いたのは電スロの正確さです。2000年代初期の電スロは少し空白があってマニュアル車の操作においてはやや使いづらさが生じますがエリーゼのそれは見事。背中を直接足で触るかの如くGを感じます。クラッチミートが難しいとはいえ、このアクセルの正確さによって解消されていると言えます。
もちろんパワーステアリングはありませんが走行中は何も苦になりません。エンジンはミッドですし、重量バランス的にもかなりリアヘビーですから少しでも進めば軽いです。ノンパワステはやはりそのダイレクト感がたまりません。