一世を風靡したマイクロカー
歴史的に見ればマイクロカーは数多く存在します。
20世紀最後に登場したスマートフォーツーはマイクロカーコーポレーションというダイムラーとの共同議場として開発を行いました。製造はフォルクスワーゲンが行うという話もあったそうですが、結局ダイムラーでの製造が決定された。
今回は2代目のスマートフォーツーを試乗してみましたので早速見ていきましょう。
スマートフォーツーのデザイン
この二代目フォーツーは初代よりも約20cmもボディが長くなっています。それでも269cmしかないので尻切れトンボ感は残っています。
初代は当時のCクラスの丸が繋がったようなヘッドライトでしたが、二代目フォーツーはブーメランタイプ。
サイドから見るとドアのラインが後方に向けて尻上がりになっていてスタイリッシュです。初代はドアハンドルが縦ですが、二代目は横向き。着座位置は車体のほぼセンターになっています。
テールライトは丸目縦二灯です。初代は縦三灯だったのでエイリアンっぽかったですね。
トランクスペースはレンジローバーのように上下で分割して開くことができます。リアエンジンなのでフロアは高いです。積載能力は決して高くないと思います。
ホイールは3穴です。タイヤサイズはフロントが155/60/R15で、リアが165/55/R15です。前後で異形なんですね。
内装はこんな感じ。ハンドルは2スポークでボタンなどはありません。初代の2004年以前のモデルはパワステが付いていませんでしたが二台目は初めから電動パワステになっています。フロントにエンジンがないので必要ない気もします。
ドアはサッシュレスでドアハンドルとウィンドウスイッチ以外何も付いていません。
ルーフは半透明でスライド式のウィンドシールドのようなものが付いています。初代は確かガラスルーフだったと記憶しています。二代目はポリカーボネートみたいなものになっています。
シートはホールド感が思いのほか良く少し硬めのクッションで当時のメルセデスっぽさを感じることが出来ます。
試乗インプレッション
一般道
スマートフォーツーを走らせると、何より印象的なのがこの5速セミオートマチックトランスミッションです。
オートマモードと、マニュアルモードがあります。発進時は少し踏み込まないと発進しないので慣れが必要。走り出してしまえば軽快そのものでスイスイ走ります。オートマモードでは30km/hほどで1速から2速に変わります。タコメーターがないので回転数は分かりませんが結構引っ張っている感じがあります。2速からはグイグイ加速していき、一般道でよく使う60km/hまでの加速はストレスを全く感じないどころか、速すぎるくらいです。
1Lエンジンは三菱製の3気筒。自然吸気で71馬力、ターボモデルで84馬力です。試乗したのはNAですが、正直速いです。RRなので無駄なくパワーが使えており、このレイアウトの上手さを堪能することが出来ます。
高速道路
スマートフォーツーは高速で乗る用のクルマではないと思いますが、加速に関しては特に心配は不要だと思います。
ステアリングが少々軽くてホイールベースも短いのでどう考えても向いていません。一応法的にも物理的にも走れる程度のものであくまで下道向きだと強く感じました。
何よりも80km/hを超えたあたりからロードノイズが酷くうるさいので疲れます。
ハンドリング
パワステはやはりない方が良いと思います。電動パワステは軽めで路面状況は分かりにくいです。
フロントエンジンではないスマートフォーツーの重量配分は前350kg、後460kgとリアヘビーです。コーナーでのロールは少なく、コーナリング中にアクセルを踏む方が安定するのはスポーティな仕上がりと言えるでしょう。スマートフォーツーの発売から数年して出たトヨタIQも似たようなスタイルのクルマではありますが、乗り味は全く似ていません。
スマートフォーツーは30〜50km/hで非常に楽しく走れるハンドリングマシンです。
ブレーキ
スマートフォーツーの最大の特徴はトランスミッションと言いましたがそれに引けを取らないのがブレーキ。
ブレーキはかなり癖がありますので初めて踏んだ時はびっくりしました。まず踏み心地がかなり硬く、踏み間違えたかと思うほどでした。ペダルの踏み心地も単純に押すというよりかは「床に中心がある円の弧を描くように奥に踏み込む」という感じです。
これはペダルの取り付けがフロアから生えているようなスタイルだからだと思います。オルガン式とも言えないその取り付け方法によって、踵を浮かせて膝から踏み込むことを要求されます。そしてブレーキペダルが小さいです。BMWのMモデルのようにマニュアル用のペダルをそのまま使っているのでしょうか。
総評
スマートフォーツーはハマります。
加速感はRRを感じることが出来ますし、ハンドリングは電動パワステということを除けば楽しいです。ボディの剛性の取り方とサスペンションのセッティングが下道での軽快な走りに直結しています。
燃費も良いしレギュラーガソリンで走れるので、日常の足に重宝するのではないでしょうか。