エンリコ・フミアの傑作
イタリア車といえばデザインの良さ。特に名門ピニンファリーナがデザインした車は特別に感じてしまいます。
今回試乗させていただいたのはアルファロメオGTV 3.0V6です。アルファロメオ伝統のV6エンジンを搭載したクーペで、ピニンファリーナのデザインター、エンリコ・フミア氏がデザインを担当しました。官能的なV6とあまりにも攻めたデザインは時間という概念が吹き飛んだ良さがあります。
アルファロメオGTVのデザイン
外装色はロッソ・アルファ。中期モデルなので小さい盾のグリルで、そのラインがボンネットまで伸びてさらに窓のラインに繋がるという驚異的な凝りよう。ライトは4つ目に見えますが、実際はボンネットに4つ穴が空いているだけでライトは四角いです。
フロントの低さに対してテールの高さはしっかりあります。テールライトの位置が低いのでとても小さい車に見えます。ボディサイドのウェッジラインが後ろまで繋がっており、本国では上位グレード用のスポイラーにもスムーズに繋がっています。
どの角度から見ても一瞬で「アルファロメオだ」もっと言えば「GTVだ」と分かる特徴的な外装です。
デザインにおいてはエンジンもその範疇でしょう。わざわざ見せるためのエンジンです。整然と並んだ6本のパイプは1時間見ていても飽きません。
ボンネットの形状も他のアルファとは一線を画すもので、ライト用の穴もここに集結しています。
アルファロメオGTVの内装
日本に輸入された多くはレザーシートで、年式によって多少デザインは変わります。この中期モデルは縦基調のステッチになっていてふっくらもっちりしたデザイン。高級家具のようです。
円で統一されたダッシュボードのスイッチ、メーター、エアコン吹き出し口。同時期のフェラーリ360モデナにも引けを取らない圧巻の完成度です。
見てくださいこのハザードボタン。ここにもう一台のGTVを見たのは私だけではないはず。
試乗インプレッション
アルファロメオのV6には何台か乗りましたが、GTVの3Lは少し低めに轟く心地よいサウンドです。ひと踏みすれば、少しずつ高い音の要素が増えます。同時に高速道路の壁やガードレールに反射する”エンジン音”がミックスされる幸せ空間。
アルファロメオのV6を語るのであればエンジン音と排気音は分けて考えるべきですが、乗ってしまえばそんなことはどうでも良いんです。147GTA用の軽量フライホイールに交換しているのでノーマルよりも軽く回るエンジンはどこからでもジューシーなパワーが取り出せて乗りやすい。
別に速いわけではない。けどなぜこんなに楽しいんでしょうか。相変わらずシフトストロークは横浜駅と新川崎駅くらい遠いですし、その感触もちょっとぐにゃっとしています。でも気づいたらシフトレバーに手が伸びて、100km/hで走行しているのに3速に入れています。