後にデルタに搭載されるユニットを先取り
ランチアテーマはランチアのフラッグシップモデルである高級サルーンですが、エンジンはどれもこだわりを感じます。
有名なフェラーリエンジンを搭載したテーマ8.32はこのサイトでも特集しましたが、今回特集するターボ16Vは後にデルタに搭載されるエンジンを搭載したモデルです。比較的高出力に加えて5速MTという組み合わせはいかにもランチアという感じで面白いです。
ランチアテーマ2.0ターボ16Vのデザイン
フロントグリルはそれぞれに専用のものが用意されています。ターボ16V用は縦基調のグリルです。
そして控えめに配置された「Turbo 16V」の文字があります。
テールライトは4段のシンプルなスタイルです。よく見るとボディの角のラインに合わせてあるのでサイズがかなり大きいです。後ろから見るとクラウンコンフォートみたいですが、夜走っていると手を挙げられることがあるので、タクシーに間違われやすいです。
ホイールは8本スポークの15インチです。同じデザインで14インチもありますが、それは小型モデルやターボじゃないテーマの標準に使用されています。
ランチアテーマ2.0ターボ16Vの内装
ランチアテーマの内装はランチアのフラッグシップだけあって凝っています。ファブリックはエルメネジルドゼニア、8.32やLSなどのグレードはポルトローナフラウのレザーが使われているほか、アルカンターラ内装も存在します。
カラーはベージュとブルーが存在します。
リアシートはゆとりがあって、沈み込みも深めです。ドアにはウッドがあしらわれており、どこからどう見ても高級車です。
灰皿やオーディオはこのように隠すことが出来ます。本国でこの手の車にオーディオが搭載されていると盗まれてしまうので隠せるようにしているらしいです。その蓋もドアと同じウッドに統一されているのが粋です。
メーターはデルタとも違う白い文字盤で、ランチアらしく20km/hからしか指しません。
エアコンパネルはシンプルながら、当時としては最先端な感じを出しているであろう「LANCIA AUTOMATIC CLIMATE SYSTEM」が自慢げ。
ランチアテーマ2.0ターボ16Vは5速MTのみ。ペダルはアクセルとブレーキが近いので細めの靴を履いてください。
ドライビングポジション的には普通のセダンです。ハンドルが傾斜しているのと、キレ角がイマイチなのもあってバスを運転しているような感じになります。
トランクは173cmの男性がすっぽり入るくらいのサイズです。FFなので相当広い上に、トランクスルーになるので相当巨大な物でも積むことが可能。ちなみに同じティーポ4のアルファロメオ164と比べても開口部が低いので本当に使いやすいトランクです。
試乗インプレッション
軽いセルの後にエンジンがかかると、この時代のイタリア車らしい脈を打つような絶妙なアイドリングを見せます。クラッチが繋がると、とりあえず2500rpmに一瞬で到達し、3000rpmを過ぎると過給され始めます。
デルタインテグラーレをほどドッカンターボではなく、シューっと効率的にトルクを引き出してくれます。数値的にはテーマ8.32と同レベルのトルク値を誇るモデルですし、車重も1.4tを切る軽さ。ちゃんとスポーティに思える乗り味です。
ボディは”非常にしなやか”で、きしみながらコーナーを抜けていくのが楽しいです。外付けのルーフラックを付けると剛性が上がるというデータがあるくらい”しなやか”なボディです。乗り心地はとても良く、タイヤの肉厚をしっかり使う感触があります。