弱点ではないが致命的な故障
私が買ったポルシェ928S4は1991年式で、走行距離が28万キロを超えていました。928としては珍しく”乗っていない期間がない”個体だったので即決したという経緯があります。しかし、さすがに28万キロともなると色々不具合が出ることが予想されていました。
実際、私が購入して一番最初に直したのがトランスミッション。現車確認は真冬の長野県だったのもあり、ミッションの状態に不具合があるとは気付かず、前のオーナーからは「そろそろATはオーバーホールした方が良い」と伝えられていました。横浜に持ってきて走り出したのが3月、バックギアが噛まなくなってバック出来なくなりました。
ポルシェ928S4のオートマトランスミッション
これは有名な話ですが、928はポルシェが市販車で初めてV8を搭載したクルマで、当時そのパワーに対応できるトランスミッションがなかったのです。そのため、メルセデスベンツ製の4速AT(前期は3AT )を流用しています。メルセデスベンツはSLやSEC、SELなどに巨大なV8を採用していたため、そのようなトランスミッションがあったのですね。
そしてその4速ATをリアに配置、エンジンとミッションをトルクチューブで繋げています。
なので、トランスミッション本体はメルセデスとほとんど同じ。つまり、オーバーホールのパーツは常に供給されています。そこまでメジャーな修理ではないと思いますが、パーツが出るというのは旧車にとってこの上ない朗報です。
ポルシェ928S4のATオーバーホールが出来る工場
特殊なトランスミッションではありませんが、やはりその年式であったりノウハウの面でほとんどの工場には断られました。
最終的に行き着いたのは厚木と世田谷に工場を持つ「デルオート」。ここは業者間取引を主とするZF社公認のミッション屋さんです。トラックなどのミッションオーバーホールもやっているそうです。
ここに連絡したところ、可能との回答を頂いたので私の928S4はデルオートさんに修理を依頼しました。
入庫していたのはワーゲン系のDCT車両やW126の560SELなど幅広く、ZF以外のミッションもパーツがあれば出来るらしいです。
ATオーバーホールの修理期間
パーツ自体が届くのに10日〜2週間ほどを要します。これはどこに在庫があるかによりますが、ドイツ本国からでその程度。
パーツが届いたら入庫です。その時の混み具合にも左右されますが、入庫から概ね2週間〜3週間が目安とのことでした。私の928S4は修理工場に持って行ってから2週間強で納品されました。
ATオーバーホールの費用
気になる費用ですが、今回はミッションオーバーホール+脱着工賃の合計が約70万円です。
もはや高いか安いか分かりませんが、お金を払って直るなら安いと私は考えているのでありがたいです。スタッフも気さくな人が多く、30分ほど立ち話してしまいました。ちなみに1年の補償が付いています。
ちなみに、その話の中で928S4や560SELのトランスミッションは最初にバックギアがダメになるように出来ているそうです。稀に3速が最初に入らなくなる個体もあるそうですが、どちらにせよ不動にはなりにくいです。また走行距離的にはこれも個体差が大きいですが20万キロくらいで寿命が来るそうなので私の928は28万キロですからかなり持ちが良かったみたいです。
http://www.delauto.co.jp/company/