トヨタのぶっ飛びモデル
トヨタは定期的にとんでもない車を開発していますが、レクサスにはアイコニックなモデルが2つ。LFAとIS Fです。どちらもエンジンはヤマハと共同開発という黄金のレシピを使い、採算度外視で設計されています。
今回はその中でもより身近な存在でありながら”ちゃんとやばいクルマ”に仕上がったIS Fを試乗インプレッションさせて頂きます。
レクサスIS Fのデザイン
ボディカラーはエクシードブルー。IS Fのカタログ表紙になるイメージカラーです。
通常のISよりも20mmだけワイドになっていますがその迫力は凄まじいです。おそらくこれは膨らんだボンネットがかなり影響しており、フロントの威圧感が強調されています。
リアから見ると、フロントフェンダーのダミーダクトがワイドさを証明しています。
マフラーカッターは斜め4本出しというスタイルです。当時はフェラーリカリフォルニアなどでも採用されたスタイルですが流行りませんでしたね。
ホイールはBBS製の19インチ。ブレーキはブレンボ製前後対向ピストンでフロント6POT、リア2POT、ディスクはドリルドです。
フロントのフォグライトの横は開講しており、タイヤハウスを抜ける構造になっています。
搭載されるエンジンは5LのV8で、ベースはLS600用でありながら、チューニングを施され最高出力423ps/6600rpm、最大トルク51.5kg・m/5200rpmのモンスターマシンに仕上がっています。その後に登場するGS FやRC Fなどにも同じエンジンが搭載されますが、それが今から約20年も前に登場していたことには驚きです。20年経過しても通用するエンジンなのです。
レクサスIS Fのインテリア
ステアリングは3本スポーク、裏にはパドルシフトがあります。
エンジンもさることながら、もう一つのテクノロジー的トピックはこのオートマチックトランスミッションです。2007年に登場したモデルでありながら8速の段数、加えて変速スピードはフェラーリ599GTBと同等というバケモノです。
2速から8速まで全てのギアでトルコンを介さずにロクアップされる機構を持ちます。BMWのMモデルでトルコンを採用したのは2017年に登場するM5ですし、ISF登場時はDCTが主流でしたからいかに高度なテクノロジーだったかが伺えます。
シートはホールド感がある専用品で、この個体は青のステッチが施されています。
試乗インプレッション
エンジン始動は”あのレクサスのピアノサウンド”と同時で、比較的おとなしめです。ただその音は、一生懸命整音されたもどかしさを感じ「解き放ってやらねば」という使命感を芽生えさせてしまいます。
トルコンATなので発進等下道での操縦は極めて容易であり、大きすぎないボディサイズ(全幅1815mm)も相まって踏まなければ普通の車です。ステアリングはやや重く高速域の方が優先されている予感がします。
足回りの動きはまさにスポーツセダン。ボディをフラットに使うのではなく、地面の凹凸に合わせて車体全体で受け止めています。車重は約1.7tと重量級だし、フロントに想定外の巨大なV8を搭載している割にはバランスの悪さを感じません。
高速道路に一度出るとまさに水を得た魚のようです。どこからでも発生するトルクは雨上がりのウェットな路面には過剰でいつでもホイルスピンします。スポーツモード+シフトを右に倒したMレンジに入れると最速の変速スピードになります。このモード切り替えがまた見事でした。
さっきまで普通の高速巡行サルーンだったのが、いきなりバトルマシンに変身してしまうほどです。そこから先の記憶は曖昧で、5000rpmを超えると顔が歪むほどのGを感じたのをかろうじて覚えている程度。
ニコニコせずにはいられません。レクサスがこんな走りをするとは、大変驚きました。C63AMGやE90 M3がのさばっていた市場に投入するだけのことはあります。この完成度は名車と言わざるを得ない。