国内未導入のV8ディーゼル
レンジローバーは、高級SUVの元祖であり今でもその第一線にいる存在です。
中でも初代の味を色濃く残しているのがセカンド、サードです。今回は3代目レンジローバーのイタリア並行個体を試乗する機会を得ましたのでインプレッションしていきます。エンジンは3.6LのV8ツインターボエンジンという激レア個体です。
レンジローバーTDV8のデザイン
レンジローバーの印象的なデザインは、いくつかの要素に集約されると私は考えています。直線基調で窓のトリムをブラックアウトさせることでボディとルーフの平行具合が際立ちます。
キャビンは前輪の真上から伸びるピラーから始まり少し後ろに重心があるようなデザイン。窓の高さとボディの分厚さのバランスが重厚感を生んでいます。
この個体は中期モデル。涙目ライトで、グリルはスーパーチャージャーモデルのものに変更してあります。
ボディサイドのプレスラインはドアノブを飲み込みながら、トランクの分割ラインになっています。しかもこの個体にはヒッチメンバーが付いています。リアワイパーはルーフのはみ出している所に収まるようになっています。機能的な部分を隠すという美しさ。
3rdレンジのディーゼルは前期はBMW製の3L直6と、中期以降はフォードと共同開発の3.6LV8ツインターボ、最終的には4.4LのTDV8になります。本来F150などに搭載される予定だったこのエンジンは結果的に3rdレンジにだけ搭載されることになります。
エンジン搭載位置は高く、オフローダーの風格を感じることが出来ます。
レンジローバーTDV8の内装
ステアリングは4本スポーク。ウッドはマホガニーのような焦げ茶色です。
左ハンドルは国内正規モデルでもごく一部存在するとの噂ですが、こちらはイタリア並行輸入車なので左。
メーターはアナログ。3rdレンジは最終モデル以外はアナログメーターです。
内装色はベージュに黒のパイピング。やはりカッコいいですね。
レンジローバー伝統のキャッスルコーナーは初代ほど目立ちませんが、ちゃんと残っています。そういえば、イギリス語ならキャッスルコーナーではなく”カッスルコーナー”なのではないかと無駄な思考をしてしまいます。
試乗インプレッション
2000rpmまでは至って静かなエンジンです。しかしわずかにターボの音が聞こえてきて、3000rpmを超えるあたりでけたたましくなっていきます。最高出力は272ps/4000rpmで最大トルクは640Nm/2000rpmです。
トルクはどこからでも出て、3t弱という巨体を軽々加速させていきます。緩めでフワフワな乗り味は気持ちを落ち着かせる効果があります。レンジローバーセラピーと呼びましょう。
ブレーキもソフトに効くので乗り心地に貢献してくれます。
着座位置が高いので他の車を上から見下ろすようなアングルです。肘の位置に窓が来るのはレンジローバーの他にあまり例を見ません。2tトラックと同じくらいの視座です。
レンジローバーの乗り心地と景色はまさに、陸の船です。