試乗記

ポルシェ944ターボ試乗インプレッション|4000rpmで効くターボのエクスタシー

ポルシェの先進的モデル

水冷FRポルシェというとどこかマイナーな響きに聞こえてしまいますが、私はむしろ逆で空冷RRフラット6の方が異端だと思います。

ポルシェはRRというビートルの名残がある古典的レイアウトから脱却するために様々なモデルと模索しました。最初に出たのは911の下位モデルとして924、次に上位モデルとして77年に928が発表されます。ポルシェ944は924の進化系でありますが、928の片バンクを使っているなど互いのモデルで共有するものも多いです。

そんな944の派生モデルとして登場したのが944ターボ。944S2や同時期の928と比較しながらインプレッションしていきます。

ポルシェ944ターボのデザイン

外装はいわゆる後期の944S2などとおなじ大きいフォグライトになっています。この車両はスピードイエローに全塗装。外装で分かる違いはサイドモールです。S2には16バルブと書いてますが、944ターボはSOHCなので書いていません。

フロントから見てもリアのブリスターフェンダーが目立ちます。同時の911よりも全幅が広いのでボディサイズは今の基準でも小さくはありません。

リトラクタブルヘッドライトを開けると丸目でポルシェっぽくなります。稼働するヘッドライトとしては924と944がリトラ、928と968がそれぞれ機構は違いますがポップアップ式になります。

ポルシェ944ターボの内装

内装はどちらかというと空冷911のデザインに近いです。ただ、センターコンソールがダッシュボードに繋がっているので944の方が現代的に見えます。

鍵を刺す位置は右側で、911のように外側ではありません。これこそが”カレラ”を名乗るかどうかの違いのように私は思います。

944にはデジタルの時計があります。これ、結構弱いので残っているのは貴重ですね。

トランクにはトノカバー。これは当時オプションだったらしく、これが付くとリアシートが一体物になります。

エンジンはフロントミッドに配置されています。当時併売していたS2はDOHCで3LのNA、このターボは2.5LのSOHCです。ヘッドのパーツも違うのでエンジンの見た目は全く異なります。

試乗インプレッション

操作系はこの時代のポルシェのイメージとは違い、意外なほどソフトです。エンジンの搭載位置が良いからかハンドルもそこまで重くないですし、クラッチも楽に繋がります。

下道で乗る限りは全然速くないんです。しかし4000rpmを超えると豹変、スイッチが入るように過給が始まりそこからは一瞬でフルパワー。ボディが柔らかくなるように進んでいきます。

確かに4000rpm以下でもターボの音は聞こえるのですがブーストはほとんどかかっていません。細かいコーナーもリズミカルにこなすのはトランスアクスルレイアウトの利点。下道で楽しいのはS2、高速域で楽しいのがターボという感じですね。

 

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